マイアミ、シカゴ経由、他離着陸を繰り返し、シアトル空港に到着した時には、サマータイムでも既に真っ暗闇になっていた。22年ぶりのシアトルだった。空港の貧弱さに驚き、こんな所だったのかと記憶の曖昧さを実感せずにいられなかった。予約したホテルの送迎用シャトルバスが空港出口に迎えに来た。空港から20分ほど離れたホテルにチェックインした。トラベロッジという名前で二階建ての細長い建物だった。期待していた建物と大いに違っており、すぐに肩から力が抜けていくのがわかった。荷物を引きずって、二階の部屋に入ると無意識にエアコンのスイッチをすぐに入れた、トリニダードにいるように。しばらくして、部屋の中はエアコンを使うほど暑くないことにやっと気がついた。その夜は3人とも疲れていてすぐに眠りについた。
翌朝、多少時差ぼけがあったに違いない。いつもよりも早く目が覚めた。妻と娘はまだぐっすりと寝ており、まだまだ起きて来る気配はなかった。そっと部屋のドアを開けるとシャープな光線が差し込んできた。外は雲ひとつない青空だった。光は完全に22年前と同じだった。駐車場は広く、派手で一見してわかるリタイヤした日系人夫婦の団体旅行客が集まっていた。彼らの所作を見るたびに、はるか昔の記憶が呼び覚まされてきた。紛れもなく「アメリカ人」だった。体の内側から興奮が沸き上ってくるのを感じた。
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