1984年、まだムンバイはボンベイと呼ばれていた。当時、日本からアフリカへ飛ぶ場合、南回りが普通の時代だった。バンコク経由ボンベイ、一泊してそこからセイシェル経由でザンビアのルサカへ赴任した。男女5人の若者が一緒だった。
インドが初めての第三世界だった。ボンベイ空港に着いたのが夜10時前くらいだった。手続き後、11時半過ぎに出口で待機していたバスへと向かった。空港の建物のガラス貼りに人という人がが蛙のようにベタベタと張り付いていた。どうしてこんな時間に、しかもこんなに大勢人がいるのか異様に見えた。
バスは古く一昔の中古の内装だった。空港を離れると一切街灯がなく、一面真暗闇の世界だった。車のヘッドライトが正面を照らし出すが、道の両側に人がうごめいていた。人また人だった。30分くらい乗車していたと思うが、その間人のうごめきは絶え間なく続いていた。人の気配は消えなかった。
暗闇の中にポッカリとその部分だけ明かりに照らされていた。それがホテルだった。
正面にはターバンを巻き制服を着た仰々しい格好のガードが立っていた。内装はこれまた仰々しく重々しかった。ベルボーイが荷物を部屋までを運んでくれた。部屋の天井を見て、その高さと装飾に驚いた。こんな部屋を一人で使ってもいいのだろうかとさえ思った。4畳半くらいの大きさのトイレは、全て大理石で作られているのが一目でわかった。
シャワーを浴びてベッドに入った時、すでに夜中の1時近くになっていた。休んだと思った途端、全員4時に起き、朦朧とした頭ですぐに空港へ向かった。飛行機はエアインディアだった。機内が妙にカレー臭かったことと、機内食が旨かったことを覚えている。
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