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メキシコ料理のブリトーを初めて食べたのは、ジャガイモ畑の収穫作業の時だった。
12時になると大型トラクタは止まった。牽引されていたジャガイモ収穫機の上で働いていた自分を含めて作業者5人はすぐに作業を止めた。30分のランチタイムになり、前の日に作っておき冷蔵庫に入れておいた今朝持ってきたサンドイッチを広げた。ハムをはさみホットソースをつけただけのサンドイッチだった。他の連中は白い色の包みものと言った感じの食べ物を袋から取り出した。
他の連中というのは、新しく増員されたばかりのメキシコ人だった。説明では、うまい仕事があると聞きシカゴの自動車工場の仕事を止め、アイダホまで4人で大きなアメリカ車に乗って流れてきたとのことだった。前から働いているメキシコ人と雰囲気が明らかに違っていた。話だけでも映画のストーリーのようだった。
見たこともない食べ物をパクついているのが気になった。それは何という食べ物かと聞くと妙なことを質問する奴と思われたに違いない。こんなことを知らない奴がいるのだという顔をしながら「ブリトー」と言った。少しちぎって、食べてみろと差し出した。薄皮に包まれた茶色の中身がうまそうに見えた。食べてみると、美味しい。この連中はこんなにうまいものを食べているのかと思った。
メキシコ料理に接して初めて外国の食べ物の美味しさを知ったかもしれない。
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