普段ザンビアで乗っていたバイクは、貸与された50ccの2サイクルエンジンのバイクだった。もちろんアメリカでは125cc、アメリカから帰国後、日本でもオフロードの125ccのバイクを乗っていたのだが、排気量が50cc大きくなるだけで感じる違いがこれほどとは思わなかった。初めてHONDA175ccのオフロードを借りて乗った時の加速は今でも忘れられない。オンロードで400ccを乗り回していた奴に、オンロードを知らないんだねと鼻で笑われたが、それは仕方がないことだと思った。俺にとっては十分驚くに足る違いだった。エンジンの大きさがXL250Sよりも多少小さいことを除き、他の部位については殆ど変わりなかった。
オーストラリア仕様の羊を追いかけるためのバイクがどうしてアフリカのザンビア、キトウェ市にあるのかわからなかったが、普通のXL185ccと違い車高が高くつま先を立ててようやく地面に届く高さだった。しかも車体の色が白く、赤と黒のタイプと違い一遍に気に入った。売買の話がまとまると、早速スペアパーツとともに受け取った。どこまでも行ける手段を得たような気になった。
普段はムフリラ市のアパートの部屋まで入れて保管していた。いつ誰かに盗まれるかわからなかったからだ。アパートのドアの幅ぎりぎりだったが、なんとか中まで入れることができた。毎日アパートに戻ると惚れ惚れして見つめた。そして、できるだけ早く隣国のジンバブウェまで行かなければならないと思った。点火のタイミングが微妙にずれていたので少しでも早く修理して最高の状態にしたかったのだ。当時ジンバブウェは先進国と変わらぬ経済レベルだったので、首都ハラレまで行けば、当然ホンダのバイクを取扱う店を絶対に見つけられると少しも疑いを持たなかった。
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