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2017年 12月 21日

人間が月面に降り立ったのはいつだったか?

HBOのテレビドラマ「トゥルー・ディテクティブ」の舞台はアメリカ南部ルイジアナ州。
キリスト教の福音主義伝道集会の場面が出てくる。
主人公ラストが、信者達をはなっからバカにするシーンを見ていて、
自分の身の回りに起こったはるか昔の出来事を思い出した。
あまりに象徴的な出来事だったので是非書き留めておかなければならないと思う。
大前提として、キリスト教におけるテレビ伝道や宗派の違いの話ではない。
進化論否定の話でもない。プロテスタントとカソリックの違いでもない。

派米農業研修生としてアメリカの農場で働いていた1981年か1982年ごろの話だ。36年前の話だ。
俺自身も体験したが、まずは兄から聞いた話が傑作だった。

兄はワシントン州ウェナチーの日系アメリカ人の果樹園で働いていた。
ウェット・バックと呼ばれる不法に越境してきたメキシコ人達が主な労働力だった。
小柄だがいわゆる鳩胸、がっちりタイプが多かった。果樹園労働の主力だった。
その中で、兄の仕事仲間にドイツ系メキシコ人、つまりドイツ人とメキシコ人のハーフがいた。
一人だけ長身で大柄な老人だった。粋とおしゃれ、酒と女とデカいピックアップトラックが彼の全てだった。
レオ・バレンタインという名前だった。
ウェット・バックと呼ばれる季節労働者が多かったが、そのままアメリカに働き住み続けるメキシコ人労働者も数多くいた。
レオはそんなメキシコ人の一人だった。その農場の場合、メキシコのグワダラハラ市近辺の地方出身者が多かった。

レオは他のメキシコ人を完全に見下していた。
前置きはいいとして、ある時、兄とレオが世間話をしている中で人類が初めて月面に降り立ったのはいつだったか?という話題になった。1970年か1969年だったはず・・・まではよかったが、レオが言った。

「ところで、こいつら、どのくらいバカか知っているか。」と他のメキシコ人労働者についてある事をほのめかした。

「こいつらは、人間が月へ行ったことすら知らないぞ」

兄は驚き、まさかと思い、他のメキシコ人に1969年か1970年かを試しに尋ねてみた。
その質問を聞いた途端、メキシコ人達は喧喧囂囂。スペイン語でまくしたてた。
ピーンチ、プート、ロコ、ペンデホ、ありとあらゆる罵声の嵐だった。
神様への冒涜だったらしい。

「お前は馬鹿かキチガイか、人間があのお月さまへ行ける訳がないだろうが。罰当たりめ。」

レオはニヤリとして兄を見て片目をつぶったとの事。

レオ本人が英語の文法に「過去形」があることを30年間気がついていなかった。後日知った。




by nshimaafrica | 2017-12-21 12:13 | 派米農業研修生(USA) | Comments(0)


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